*でくのぼう宮沢賢治の会 朗読と講演*
2023年6月につくばにて開催した朗読と講演「デクノボー 宮沢賢治先生」を3月17日(日)に、鎌倉にて開催します。
どなたでもご参加いただけます。お気軽にお問い合わせください。 ★詳細はこちら
[日時]2024年3月17日(日)14時00分〜16時30分 (受付13時30分より)
[場所]山波言太郎総合文化財団
JR横須賀線「鎌倉駅」東口 徒歩15分。江ノ電「和田塚駅」徒歩5分
[参加費]300円(事前にご予約ください。定員になり次第締め切ります)
[申込み・お問合せ]山波言太郎総合文化財団 受付
TEL 0467-24-6564
〈第1部〉
ありがとう 宮沢賢治先生
企画・演出・朗読 でくのぼう宮沢賢治の会
農学校教師時代の賢治の教え子たちが語る、
涙と笑いの感動のエピソードを、
朗読と当時の貴重な映像と音楽でつづる。
〈第2部〉
宮沢賢治 デクノボーの生き方
講演 熊谷えり子
霊性の視点から、宮沢賢治の生涯と『雨ニモマケズ』、
『銀河鉄道の夜』などの核心を語る。
熊谷えり子(くまがい えりこ)
山波言太郎総合文化財団 代表理事。でくのぼう出版 代表。でくのぼう宮沢賢治の会 主宰。著書『こころで読む宮沢賢治』『ネオ・スピリチュアリズム』『スピリチュアルな宮沢賢治の世界』他。
JUGEMテーマ:デクノボー宮沢賢治について
昨年9月に鎌倉・山波財団にて開催された、宮沢賢治祭2023(主催:でくのぼう宮沢賢治の会)での「ポラーノの広場」感想文です。
第一回はO・Tさんです。
賢治祭 第二部 ポラーノの広場 感想
長へん輪読会の回を重ねるにつれ、レオーノキューストさんを賢治さんと重ねあわせながら読み進めていました。顕在意識では置かれた時代で懸命にでくのぼうになろうとして生きた賢治さんですが、より深いレベルでは、まるで、地球や宇宙の歴史を俯瞰しているような歴史学者、語り部、透徹した観察者、そして山波先生に教えていただいたとおり、変革者であると改めて思いました。
最初の鉛筆稿は昭和2年〜3年にかけて成立しているそうですが、このころの賢治さんは、花巻農学校を退職し、下根子桜で独居、開墾生活をしながら農民に対し肥料設計をし、羅須地人協会を始めています。いくら農民のために献身しても、やっぱり俺ではだめなのかなあ、と自身の心情を吐露する「境内」という詩があるように、そう簡単には農民になれなかった、農民からは受け入れられなかった、農村の変革には手が届かない、なりたい自分に追い付いていない、でくのぼうになれていない、顕在意識では修羅を生きていたのかもしれません。だから、物語の中のレオーノキューストさんは、ファゼーロたちに溶け込んで、共に生きていく選択をしなかったのかもしれない、と思いました。
ところで、「六、風と草穂」における、レオーノキューストさんから村の子どもたちへ伝えられたメッセージは、最終稿では大幅に改変され、外されています。それはもしかすると、より深いレベルでは、この物語は後世の人に託された物語であり、作品が成立してのち、どの時代の人達であっても、無数の人が決意して、無限につくろうとしていく広場がポラーノの広場だから、その普遍性ゆえに改変され、またポラーノの広場は完成を見ずに、物語が終わっているのかもしれないと思いました。
はるか昔から、地上天国をつくるための計画と預言の系譜があるそうです。アクエリアス時代のとば口に置かれた私たちにとって、「ポラーノの広場をつくろうとすること」とは、先人に続いて、「キリスト原理、ネオ・スピリチュアリズムが浸透した世界をつくろうとすること」。それと同義なのではないかと、思い至りました。
ファゼーロたちが酒を飲んだコップを清冽な水で何度も洗い、新しい水を汲んで飲む、このシーンに幽体浄化という、新しい世界のつくりかたが示されているような気がして、だとしたらそれを象徴として受け取りつつ、みんなでそれができるように、今日できることをしてまいります。(O・T)
JUGEMテーマ:デクノボー宮沢賢治について
本年はありがとうございました。みなさま良いお年をお迎えください。
2023年最後の日曜日になりますが、9月23日に開催された宮沢賢治祭のご報告をさせていただきます。
2024年は、でくのぼう宮沢賢治の会メンバーで「朗読・映像・音楽と熊谷えり子代表の講演」を数回予定しております。
2025年もどうぞよろしくお願い致します。
宮沢賢治祭2023 報告
企画/制作 でくのぼう宮沢賢治の会
令和5年9月23日(土・秋分の日) 財団2Fホール
今回の賢治祭は、ポラーノの広場に集った「でくのぼう」たちの祈りと新たな誓いの会でした。
第一部は、今年6月につくばカピオで開催した「ありがとう宮沢賢治先生」と、ほぼ同じ舞台をする予定でしたが、月一回のでくのぼう会の定例会で、皆が集めてきた賢治の教師時代の他のエピソードを聞いているうちに、その先がみえてきて、組み替えているうちに新しい舞台になってしまいました。
賢治のエピソードの一つ一つの場面が、すべて雨ニモマケズの言葉の一つ一つに結晶されている。つまり、賢治の芸術の一番美しいものは、賢治(の生き方)そのものであったということが心に焼き付きました。
第二部は、熊谷さんの構成されたプログラムでした。
当日は、長へん輪読会での感想文を発表する5名の方の思いが、重なりながら、またそれぞれにいろんな色彩を放ちながら、まさにそこにキューストさんと、ファゼーロがいて語っているかのようでした。感想の間に入る、「ポラーノの歌」「ポランの広場」「天上への祈り」の数々が、その世界を大きく広げてくれました。アンケートにもありましたが、実に透明で美しい、発表と合唱でした。
そして、リクエストの声が多く、毎年の恒例となった熊谷えり子ミニ講演では、この激動の時期に、尋常ではない忙しい毎日を送る熊谷さんに、どうしてこんな完成された(?)何十年も前から構想されていたようなお話ができるのかと、驚いてしまいました。(山波財団月刊誌より抜粋)
では、第1部、第2部、講演会の当日の模様を写真とアンケートでご紹介いたします。
〈第一部〉
「ありがとう 宮沢賢治先生 2023」
(写真 K・Y)
〈先生はいつも「自分一人だけはなんとかよくなりたいなどと思ってはいけない。みんな昔からの仲の良い友だち同士なんだからね」といわれていた。—— 小原久雄〉
〈果たせるかなS君は不起訴となり幾日か泣きぬれた瞼を瞬(しばたた)きながら先生のもとに帰って来た。先生はS君の如何にも心からうれしいと云うその顔と姿を窺いながら、はじめて心の底からうれしそうに、「よかったね」とニッコリ笑った。—— 松田浩一〉
〈自分が自分の生活の中で「無私の献身」の生き方をする、これが最大の革命なのです。なんとなれば、想念はエネルギーであり、愛が最大の変革のエネルギーだからです。ですから、これを生活で実践すれば、その人から「空」のもつ宇宙創造パワーが出て、世界が変わるのです。ここに宮沢賢治の独特の革命があります。—— 桑原啓善〉
〜アンケートより(一部抜粋)
〜
◎会場に流れる音楽から、すでに会場はポラーノの広場だった。
今回の賢治祭も又最高でした。
◎ホールに入るとさわやかさとキンチョウ感を感じました。皆様の一生懸命な姿勢に心うたれました。
賢治先生の深い愛情、なみだが流れました。人を正すのは愛ですね。深く心に残りました。
◎全てが、とても感動的でした。
◎宮沢賢治先生の聞いたことがなかったようなお話もきき涙も出ました。皆さんの心のこもった声と言葉が私も今日、生徒になれた気がしました。
◎みなさんのりんとしてすばらしい声が心に響きました。
◎愛に生きる生き方を示してくれ、心に刻み付けられ、又痛い程胸に響きました。人に親切にする勇気をもらいました。
多感な時期の生徒達にいじめ、反抗がなく皆が自分が一番かわいがってもらったと一人一人が思っていることに心打たれました。
◎心の中から感動しました。時を越えても感動があるのですね。
山波先生、賢治さんありがとうございました。
又、その間にかかる由有子さん作曲のリラ自然音楽も、同様に自然の風景の映像も、一瞬にして深い心のところへ連れて行って下さいました。
◎「宮沢賢治先生」のようにその生徒一人一人の未来にまでわたって見通して生徒の人間性を高め、職務に誇りをもてるように育て見守れる先生がこの現代に存在したら、現代の中・高生たちはどれほど目を輝かせ夢と希望を胸に生き生きと生きられるだろうと思いました。そして賢治先生ひとりに任せるのではなく私たちおとな一人一人が向き合う課題なのだと自覚しました。
◎賢治さんが本当にデクノボーに生きたことが、心の底からわかりました。心からわたしも同じように生きたいと思いました。賢治さんの愛がものすごく伝わり、ずっとボロボロ泣いていました。愛は人を変えるし世界も変えるとエピソードをききつつ本当に実感しました。
〈第二部〉
「ポラーノの広場のうた」〜みんなで歌いましょう〜
「輪読会(『ポラーノの広場』)感想文」5名
案内人 熊谷えり子
〜アンケートより(一部抜粋) 〜
◎「ポラーノの広場」は賢治が私たちに地上天国をつくることを託した、そういう作品なのだと理解できた。
託されたバトンをしっかり持ち、地上天国めざしてがんばります。
◎感想文発表で皆さんが触れて下さった、手入れ前原稿のお話が、とてもありがたかったです。賢治さんの、皆さんの真けんさ、自分の初心のことを思いました。
「酒やたばこを飲まずに(自分の娯楽に頼らず)二割の力を得る」人になりたいです。
◎おひとりおひとりの輪読会の感想がすばらしく、もう一度「ポラーノの広場」読み返そうと思いました。
◎発表された方々の本心を感じました。
◎長期にわたった輪読会、力強く読み終えたこと心にひびきました。
◎ポラーノの広場のうた、やはりさいごの由有子さんの自然音楽、ないてしまった。
◎みんなの歌がとても良かった。今までの何十年の中で一番良かった。
〈第二部〉
ミニ講演「地球よ、愛の星に変われ」
熊谷えり子
1 「ポラーノの広場のうた」賢治の書いた楽譜
2 「ひのきとひなげし」初期形 青蓮華になったつめくさの話
3 「ひのきとひなげし」最終形 オールスターキャストは光のアリ
4 決死でないとできない――よだかのように飛べ
〈ひなげしはまっかに燃えあがり、ゆらいで乱れてひらめいて、まるであらしの海の中の沢山の赤い帆船(ほぶね)のやうです。—— 童話「ひのきとひなげし〈初期形〉」より〉
〜アンケートより(一部抜粋) 〜
◎5人の方の『ポラーノの広場』輪読会感想は、客席側にいる私たち皆の心の声を代弁してくれていて、大いに共感してじっと聴き入ってしまいました。
熊谷先生の「地球よ、愛の星に変われ」の講演はさりげなく静かに始まりましたが、圧倒的な力強さをもった私たちへの決死の声かけと受け取りました。(後略)
◎熊谷先生のお話がどれも感銘を受けましたが、「ひのきとひなげし」「オールスターキャスト」のお話が感動的でした。
本物を見極める人間になりたいです。
◎熊谷先生の話、カツを入れられました。
月刊誌にのせて下さい。
◎熊谷先生のお話、言葉がカンタンにはでてきません。
家に帰って何度もメモをかみしめ、もっともっと自分を捨て切ってできることを一つ一つやって(実践して)ゆきます。
◎熊谷さんのお話は、タイトルだけで泣きそうになりました。
すごく大切な内容で、今日来て本当によかったです。気合が入りました。
バトンを受け取ったからにはしっかり働きたいです。
◎えり子先生の講演、賢治さんの長へんとW・イーグルの四大の一致。あらためて地上天国への道すじを見た感じです。
◎地球よ、愛の星に変われ──今の地球を見ていると熊谷先生が山波先生や宮沢賢治先生が私たちに伝えたいことを、必死でおっしゃられていることがわかりました。
◎地上天国の実現が、真実味を帯びてきたように感じました。
◎熊谷先生の講演は、まるで密度の濃い講座を受けているようでした。決死の愛の人に少しでも近づかねばと身のひきしまる思いでしたが、絶望の中にも希望が感じられるような気がしました。
(☆)
JUGEMテーマ:デクノボー宮沢賢治について
日時 2023年6月11日(日) 午後2時30分~
会場 つくばカピオ
進行・講演 熊谷えり子
6月11日につくばカピオで開催された、朗読と講演「デクノボー 宮沢賢治先生」のご報告です。
以前、賢治祭2015年(鎌倉生涯学習センターきららホール開催)でやって、一般の方にも大変好評だった宮沢賢治の教え子たちの残した実際の愛のエピソード「ありがとう宮沢賢治先生」に続いての一般向け講演となりました。
当日はたくさんの方々が観覧に来てくださいました。そしてとても深い内容の感想をたくさん寄せていただき、ありがとうございました。
では、第1部、第2部、の当日の模様を写真とアンケートでご紹介いたします。
第1部「ありがとう 宮沢賢治先生 」
企画・脚本・演出・朗読 でくのぼう宮沢賢治の会
第1部 参加の方々のご感想(アンケート用紙より一部抜粋)
◇私が宮澤賢治の作品にひかれたのは小3のときでした。当時いじめにあい、学校の図書館で雨ニモマケズをよんで一所懸命にノートにうつして帰った思い出があります。デクノボーということばにひかれました。ただやさしくありたいと願いました。
50才を目前にひかえたある日、急にそのことを思いだし、もういちどノートにかきとめました。
20代、つらい時代にも同じことをしました。 今日、あらためて深く、その思いを胸にやきつけた思いです。ありがとうございました。
◇本日は、ありがとうございました。
あらためて賢治の世界、生き方にふれてこれからの活動に背中を押していただきました。
我が家の家訓は、"雨ニモマケズ"。子供が生まれた時から、直筆コピーをかざり、毎日心にとめています。少しでも"でくのぼう"に近づけるよう精進します。
◇つくばカピオという施設は初めてなので、 友人に連れてきてもらいました。つくばには、立派な運動場がありますね。
さて朗読の時間はうっとりして、楽の音と画面に吸いこまれて、賢治の世界を体験させてもらしました。ありがとうございました。
講演は賢治のデクノボー人格(生き方)が 一人でも多く増えれば、世界から戦争も競争もなくなって、平和の世界になると桑原氏((熊谷講師の)お父様はいっている)、その通りと思います。
そのために、私たちは何をすればよいか、コロナ3年間中、みんなそれぞれ考え、実行したと思いますが、人間の本能を制御する倫理・道徳は常に考えてゆきたいです。
◇賢治の農学校教師時代のいつわを知ることができ、よかったです。
◇第1部では、なんとも神聖な空気を感じ、少し眠くなって来ました が、眠らず皆さんの透明な声の朗読を聴いていました。改めて賢治先生のエピソードに心を打たれました。「生徒諸君に寄せる」は迫力があり、私たち自身に言われているように感じました。
第2部では熊谷先生の説明で、「自分を勘定に入れない」利他の賢治の生き方、自分との違いがまたわかったように感じました。日常、自分の楽しみのために何かすることももちろん利己ですが、それを無理矢理がまんするというより本心から他人の幸せが自分の幸せにならなければいけないと思いました。
世の中が悪くなっているのが自分の中にその暗いものがあるから、自分のことであると改めて思いました。
質疑の時間、質問に答える熊谷先生のお話の中で、結果だけでなく、どのように考えたかという過程も大事というようなことを言われ、改めてそうだと思いました。最近、結果が出せなければ意味がない、というような説をよく聞く気がして、さびしい気がしていました。
私から見ると、神のようである賢治さんでさえ、デクノボーに到達していないと自身では思っておられたのだと改めて思いました。
この会のチラシですが、裏面のつくば駅から会場への道案内の文章がとてもわかり易かったです。
書いてあるその通りに来ることが出来ました。素晴らしい会をありがとうございました。
第2部「宮沢賢治 デクノボーの生き方 」
講師 熊谷えり子
熊谷えり子講師
第2部 参加の方々のご感想(アンケート用紙より一部抜粋)
◇宮沢賢治先生の作品が子供の頃大好きでした。今回、そのお人柄について理解をすすめることができ、とても感動しました。
朗読いただいたこともとても良かったです。
◇前半の生徒たちと賢治のやりとりは知らなかったことが多く、心あたたまるーというよりすばらしい師弟の関係がわかって感動しました。
◇もう一度本を読みたい気分になりました。(あ、読みます!)ありがとうございました。
◇デクノボーになりたかったのは?
(愛の人になって、みんなに奉仕して、宇宙の法に従って)
宮澤賢治の作品を改めて教えていただき、今の生き方を見つめる機会になりました。
死後の世界の階層と、生前の利他の生き方がつながっていくという法華経の深い教えも学ぶことができました。
◇宮沢賢治の生き方を教えて頂き、ありがとうございました。
◇霊性からのお話は一つの光を感じることができましたが、もっと深くせまりたいと思いました。
◇雨ニモマケズを読んで、自分の欲や感情にふりまわされている時、気持ちが落ち込むことがありました。
今日のお話を聞いて同じように思う方もいらっしゃって、そうゆう時に自分はどう行動をしていくか...
少しでも愛をもった行動ができるようになれたらいいなと思いました。
◇朗読会よかったです。
◇二部、修羅の世界を春にかえる。自分のエゴを利他に変える。必死でたたかって生きる。光を放つ。そういう人になる努力をしようと思いました。
(★)
JUGEMテーマ:デクノボー宮沢賢治について
読むといつも考え込んでしまう作品です。
気のいいベゴ石が最初は稜石たちの退屈しのぎのからかわれ、ついには自分にのっている苔にも馬鹿にされ野原中から悪く思われてしまうのが辛い。
でもベゴ石は、どんなにからかわれても馬鹿にされても悪口をいわれても言い返したりしません。逆にありがとうとお礼を言ったり、ちゃんと誠実な受け答えをしてをみなえしが気を悪くしたと思えば素直に誤り、苔たちが良くない歌をうたったときは素敵な歌を作ってあげたりします。そしていつもしずかに霧の中にいたりお日様と青空を見上げたりしているのです。
最初は稜石たちのちょっとからかっただけからはじまってベゴ石の気のいいのをいいことにみんな段々図に乗っていく。この「ちょっとからかっただけ」が野原全体に広まって結果みんながベゴ石を馬鹿にしたり無視したり悪口言ったりにつながるのって現実生活でもあることで怖い。どうして誰もベゴ石を擁護しなかったんだろう。でも自分の中にも見て見ぬふりや本気で同調してないにしても悪口に相づちをうってしまうことある。身につまされます。
最後標本として連れていかれる際、ベゴ石は自分がこれからいくところはここのように明るく楽しいところではないといい、けれども私共は、みんな、自分でできることをしなければなりませんと挨拶する。ベゴ石の居なくなった野原はとても寂しくなってしまっただろうそして失ったものの大きさにあとから気付くんだろうなと思うとちょっと落ち込んでしまう。失って気付くことが多いので。
そして、目の前にあることものひとを大事に生きていかねばとあらためて思うのです。
べご石のように生きたいキャットハンド
富士山本宮 浅間大社境内(撮影 キャットハンド)
JUGEMテーマ:デクノボー宮沢賢治について
宮沢賢治の教師時代のエピソードを、ふんだんに盛り込んだ朗読と講演の会
「デクノボー 宮沢賢治先生」を6月11日(日)に、はじめてつくば市にて開催します。
1部はでくのぼう宮沢賢治の会で企画し、映像、音響、朗読もみんなメンバーたちで担っています。
手作り感満載ですが、少しでも教師時代の宮沢賢治にふれていただけるとうれしいです。
講演は、熊谷えり子代表がデクノボー宮沢賢治について深く語ります。
きっと目からウロコのお話になることと思います。
どなたでもご参加いただけますので、お気軽にお問い合わせください。
大きな勇気を出してすべてのいきものの
ほんとうの幸福をさがさなければいけない
──宮沢賢治
☆内容
1部
ありがとう 宮沢賢治先生
企画・朗読 でくのぼう宮沢賢治の会
農学校教師時代の賢治の教え子たちが語る、涙と笑いの感動のエピソードを、
朗読と映像と音楽で綴る。
第2部
宮沢賢治 デクノボーの生き方
講演 熊谷えり子
霊性の視点から、宮沢賢治の生涯と『雨ニモマケズ』『銀河鉄道の夜』等の核心を語る。
[日時]2023年6月11日(日)14時30分〜16時30分 (受付14時より)
[場所]つくばカピオ 2Fリハーサル室1
つくばエクスプレス「つくば駅」徒歩約10分。
※利用者専用駐車場はありません
[参加費]無料(事前にご予約ください。定員になり次第締め切ります)
[申込み・お問合せ]事前に必ずご予約ください。
山波言太郎総合文化財団 受付担当 ヤギまで
TEL 070-3971-7889
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☆ポランの広場あらすじ
『ポランの広場』では、『ポラーノの広場』に出てきた「デステゥパーゴ様の」広場ではなく、「お菓子やオーケストラだっていくらでもあるほんとうにいいところ」というポランの広場が登場します。
また、ポラーノ広場のファゼーロは青年でしたがポランの広場に出てくるファゼロはファリーズ小学校の生徒でキューストさんは「私」で登場します。
ファゼロはポランの広場に一度行っただけでそのあといくら番号を調べてもポランの広場をみつけることができませんでした。馬車別当に邪魔されたりしながらも、丹念に探しつつけ、つめくさのあかりが全部ついたところで番号を数えるという手法で、とうとう「私」と一緒にポランの広場にたどり着きます。カブトムシの鋼のはねがリインリインと空中に張るような音がたくさんきこえてきて、ポランの広場はあらわれます。貴族や貴婦人のようなすてきな人たちがたくさんいて、「私」は気おくれしてしまいます。ファゼロがぼくのずぼんに黄のすじを入れておくれというと蜂たちが花粉をもってきていれてくれたり、衣装係がいて洋服をつくってくれるのです。「私」も「名高いポランの広場にこれから何が起こるのかすっかりみてやろう」と覚悟を決めると立派に衣装が整っているのです。山猫博士もやってきてブドウ水を頼む「私」とファゼロに「水をのむやつがくると広場も少ししらっぱくれるね」といい、オーケストラの音楽にいちゃもんをつけたり、飛び入りの歌が行われてるところにちゃちゃをいれたりして、ファゼロに決闘をふっかけます。けれども終いには自ら尻尾を巻いて逃げていきました。そのあとのブドウ園の農夫が「つめくさの花がともすちいさなあかりはいよいよ数を増してそのほか空気はいっぱいだ。」という農民芸術概論ようなとてもいい演説をします。すっかり夜もふけ「私」はもっと居たいというファゼロを連れて、つめくさの番号を数えながらかえります。
数日後「私」がポランの広場へ行きたいというと、ファゼロはつめくさは枯れて番号やなんかめちゃくちゃでポランの広場の行く道なんかわかりやしないと告げます。ところが野原へ行く途中、ファリーズ小学校の生徒たちが「このごろはつめくさのあかりでなしに方角でだけ行くらしい」といい、とたいまつをかざしながら進んでいきます。たいまつの火の粉は地面に落ちつめくさも見当たりません。とうとう迷子になってしまいます。そしてたいまつの火が消えます。どうなることかというところで羊飼いのガロが登場し助けられます。
最後は「私」が出張に行った話で途切れています。
☆『ポランの広場』感想
ファリーズ小学校の生徒たちは、なぜたいまつの火と「方角」ではポランの広場を見つけることができなかったのでしょうか。ガルさんはたいまつの火をつけて歩くとあぶない、誰かいけないやつにみっけられたりしたらどうするんだこんな真っ暗な晩は野原はこわいんだと叱ります。そして方角なんてだめだいときっぱりといいます。
つめくさのあかりで番号を数えていくことは自然から教えてもらいながらポランの広場を探すこと,
一方、たいまつの火と方角でさがすことは、樹木を犠牲にして火の粉をまき散らしまわりも自分たちも危険に晒しながら広場を探すことではないかと思いました。そしてそのたいまつの火と方角で探す方法はまっくらな野原では誰か悪いものに見つかるかもしれないと羊飼いは言います。たいまつの火ではつめくさのあかりをうかびあがらせることはできずかえって間違った暗い闇へふらふらと進んでしまいます。それは幸せになりたいと科学技術を発展させそのあげく自然を破壊し間違った方向へ進んでいっている人類のようです。まっくらな中でたいまつの火をみてほくそえんでいるのはサタンさんのような気もします。けれどもたいまつの火がきえたところで子どもたちは助かります。もしかしたらたいまつの火とは人間のエゴなのかもしれません。
またつめくさのあかりのことをときどきあかしと言いかえているところから、ほんとうの広場にたどり着くにはこっちだよと教えてくれているのかもしれないと思いました。
キャットハンド
JUGEMテーマ:デクノボー宮沢賢治について
子どもが通っていた小学校で、毎週水曜日、絵本の読み聞かせボランティアをしています。私は、全学年で、当会のヒームカさんが作成してくださった、宮沢賢治の「気のいい火山弾」と「いちょうの実」の紙芝居を交互に読んでいます。
先日、一年生のクラスで、「いちょうの実」の紙芝居を読んだ後、一人の女の子が、「とっても感動しました。子どもたちが旅立ってしまって、お母さんの木がかわいそう。」と涙ぐみながら感想を話してくれると、隣の席の女の子も、一緒に泣き出してしまいました。あまりに素直な感想に、一瞬言葉を失いました。子どもたちの純粋な心に、賢治さんの物語がまっすぐに届いているんだなあと思うと、何とも言えず幸せな気持ちになりました。
これからも、賢治さんが残してくれた「すきとおったほんとうのたべもの」を、せっせと、子どもたちにお届けできたらいいなと思っています。
(マルメロ)
絵 ヒームカ
異稿の馬車別当は愉快な愛すべきぢいさんです。ぢいさんなのに小学生のファゼロにポランの広場へわしも連れてってお呉れんかとお願いし、咽頭を一つこきっと鳴らしてあゝ早くポランの広場に着いて上等の藁酒を一杯やりてい、といい、又三郎やファゼロが歌を歌えば馬車別当も歌うけれどそれは「蟹は平たい茶色の石の下に居る」という見たまんまの歌だったりします。そしてぢいさんなのに又三郎やファゼロと三人で手をつないでぐるぐるまわり、歌ってはねて歩きます。
しかしこの物語が書かれた当時、足の曲がった方(おそらくハンディキャップのある方)が生き延びていくことはどれほど大変だったでしょうか。本稿では「このごろはいつも酔ってゐる馬車別当」がつめくさのあかりを数えるナイーヴなファゼーロたちを嗤います。「這ひつくばって花の数を数へて行くやうなそんなポラーノの広場はねえよ」と。
異稿はあったらいいなという世界、馬車別当がそのままでいられるような世界が淡い色彩で描かれているとすると、本稿は登場人物が深い青の中に置かれ輪郭のくっきりした線で描かれているように思います。そこでは現実に苦悩し そうふるまわざるを得なかった彼らに出会います。持つ者と持たざる者との間にある圧倒的な格差と容易には突き崩せない関係性の中でそれぞれが息をしています。
ある日、山猫博士が来年の選挙のために皆にただで酒を呑ませていた偽のポラーノの広場にファゼーロは迷い込み、山猫博士と決闘をする羽目になります。結果雇い主のテーモからひどい仕打ちを受けることは明らかで、テーモのもとへどうしても帰れなかったファゼーロは失踪してしまいます。ファゼーロは失踪という消極的な選択をしたかのようですが、しかしそれはもはや使役される立場に甘んじることはできないと、尊厳をかけ決然と立ち上がった地点であったともいえます。やがてよい出会いがあってファゼーロは革の加工技術を身に着け村に戻ることになり、かつて密造酒を醸造した設備を再利用し村のみんなと革の加工・ハムの製造に取り組み、三年後には産業組合を作るまでになります。ベジタリアンのはずの賢治さんが物語の中で革の加工やハムの製造を扱うことに違和感を持ちましたが、それだけにおかれた場でできることに具体的に取り組んでいくことでのみ「はえある世界」は「ともにつくら」れていくことが示されているようです。あったらいいなの淡い世界に浸るだけ、イメージや想念では現実の変革には至らない。『宮澤賢治の霊の世界』で 山波先生がおっしゃっていた「無名で、孤独で、しかし絶えず自分の置かれた環境で、自分が学んだ知識や技術で、献身して骨を地に埋め」ようとする、そんな人たちで本当のポラーノの広場はつくっていけるように思うのです。
(O・T記)
⇒ 草薙 (12/05)
⇒ ten (01/04)
⇒ 草薙 (03/24)
⇒ 草薙 (01/27)
⇒ 草薙 (11/02)
⇒ ten (09/18)
⇒ ten (09/18)
⇒ ten (09/18)
⇒ 月野原さやか (09/14)
⇒ 月野原さやか (02/14)