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2019宮沢賢治祭 ご報告

 

 9月に恒例の賢治祭が開催され、参加者の皆様から熱のこもった沢山のアンケートをいただきました。時間をかけて心を込めてにお書き下さった(記事になる程の)文章もあり、大切に読ませて頂きました。今回は、賢治祭の舞台裏として、アンケートの一部をご紹介させていただき、当日のご報告をいたします。 【リード文・草薙 建(抜粋)】

 

2019年9月21日(土)3:00 〜 5:00 山波財団 2Fホール
司会進行 熊谷えり子
企画・構成 でくのぼう宮沢賢治の会
写真 K・Y
 

 

前半
グスコーブドリと賢治の伝記(60分)

それぞれのテーマを決めて5部の構成です。熊谷先生監修、草薙さんがシナリオに起こしてくれました。
熊谷先生のナレーションとメンバーたちの朗読、挿入曲、プロジェクタで流す映像で、来場された参加の方々と共に感動的な舞台となりました。

 

2009賢治祭5

 

 

後半
イーハトーブの歌と朗読(40分)
青木先生の指揮のもと、「種山ヶ原」「耕母黄昏」「ポラーノの広場」の合唱、最後には全員で「雨ニモマケズ」を群読しました。群読は大迫力で新しい時代がそこに来ているような新鮮な気持ちになりました。

 

2009賢治祭3

 

 

 

また、「懐かしの映像」では、2004年8月14日の講演&コンサート「宮沢賢治を生きる」第二部(録画)より、山波言太郎先生の「雨ニモマケズ」「農民芸術概論綱要」朗読と、当時のリラ自然音楽研究所会員たちによる「青い槍の葉」の群読が上映されました。15年前の映像は流れた月日を感じながらもなつかしくホロリとなる場面もあったかも知れません。山波言太郎先生の朗読は今でも新しく感じられ圧巻でした。

 

2009賢治祭4

 

2009賢治祭1

 

今年は若い人たちがいつもより多く見えられました。

プログラムの配布を手伝ってくれたり、積極的に手伝いを申し出てくれました。

 

2009賢治祭2

 

 

 

★アンケートの一部より★

 

係の皆さんのくるくる働く姿。一生懸命声を出し合い、1つになろうとする姿。若い方もたくさんいました。そう若くない方も、心は全く若いままだと感じました。
終わって今、この新しい人達が、まっすぐこの道を進んでいけるためだけに、自分ののこりの人生をつかい切りたいと思いました。
何もかも新鮮でした。

 

第1部、とにかく涙が流れました。ブドリ(賢治先生)のでくのぼーに感動しました。私もこのように生きたいと強く思いました。ブドリの、本当に心からの無私の心に感動しました。
第2部、みんなのキレイな心がのった歌声にいやされました。
最高でした。

 

第1部の脚本、朗読がとてもすばらしかったです。
合わされた音楽も絵も本当にピッタリで、賢治先生の生きて来られた時代を思いながら、心が痛くなりつつもあっと言う間の1時間でした。
山波先生の朗読をあらためて聞かせていただくと、今まで感じていたよりも更にもっと優しく静かに心に響いて、言葉には出来ないほど感動しています。
第2部 強い思いを感じ、心を寄せながら今の自分に出来る限りの力(声)で、デクノボーになりたい思いも込め、歌と群読に参加させていただきました。
今年も賢治祭に参加出来ましたことを心から感謝しております。スタッフの皆様本当にありがとうございました。

 

でくのぼう会の方々の朗読、構成が見事でした。
始まる前に山波先生の気配を感じて涙が出た。
熊谷先生のナレーション以下、とにかく皆さんの声が言霊で力があるのを感じました。
犲磴た佑豊瓩汎辰妨世錣譴討燭里わかる仕事や人に対する態度を若くない私が見ても改めて考えさせられ反省したりしました。
後半はなつかしの映像、先生もクラブ員の皆さんも若くて一生懸命で青い葉みたいでした。賢治先生とでくのぼう会の皆様有難うございました。

 

今回の賢治祭は、原点に立ち返るような、でくのぼうの生き方を今一度考えさせられる内容でした。
グスコーブドリのお話を取り上げながら、賢治さんや山波先生の悲願のようなものを感じました。
改めて自分もブドリ(賢治さん)のように生きたいです。
山波先生がデクノボー革命と名付けたこともすごく腑に落ちたというか、まず自分がデクノボーに徹して愛と奉仕をしないと世の中は変わらないと思います。
奇しくも、今回の参加人数は101人とのこと。101匹目の猿が浮かびました。ここから愛と奉仕のライフスタイルの生き方が広がるのではないかという気がしました。
また、今回は若い方々がたくさんいて、やはり場が明るくなり、会場の空気感が全然違いました。若い皆さんの素直な心が会場に流れて、明るい気持ちのよい空間になっていたのではないでしょうか。

 

明るく華やいだ入口を通って席に座ると、とても温かい空気に包まれていると感じられ、会場全体に愛が満ちているように思いました。
前半は、賢治さんとブドリのみんなの幸福のための自己犠牲と無私の献身の姿勢が静かに力強く伝わってきて涙が出、熱いものを受けとりました。「やろう!もっともっとやれる!」と思ってしまいました。
最後に101名で群読した「雨ニモマケズ」はしっかりと心に残りました。
賢治先生に皆で拍手する時、初めて賢治さんの存在(?)を感じ、涙が出ました。

 

 

 

 

JUGEMテーマ:デクノボー宮沢賢治について

| ポラーノ@管理人 | 12:56 | comments(0) | - | pookmark |
宮沢賢治童話感想文(サムライ平和第13号より転載)その3 保阪嘉内宛書簡 【番外編】保阪嘉内宛ての手紙

「サムライ平和(ピース)第13号」山波言太郎総合文化財団編集発行 の「特集  宮沢賢治の童話を読む」にはたくさんの感想文が寄せられ、掲載されています。その中から、いくつかの感想文を当ブログに転載させていただくことになりました。

まずは、でくのぼう宮沢賢治の会メンバーの投稿感想文を何回かに分けご紹介致します。


 

 

保阪嘉内宛書簡
【番外編】保阪嘉内宛ての手紙

 保阪嘉内は、宮沢賢治の盛岡高等農林学校時代からの親友です。
 親友嘉内に宛てた手紙は七十三通現存していますが、賢治のあらゆる手紙の中で、若かりし賢治の最も生き生きとした姿が表れているのがこの嘉内に宛てたものだと思います。他の誰にも言えないような心情の吐露、時に励まし合い、時にぶつかりあう、常に真剣勝負の大きな想念の渦のような手紙を見ると、賢治がどれだけ深く嘉内を信頼していたのかが窺えます。同時に、賢治自身にも抑えきれないような矯激な思いを受け止めることができた嘉内という人の懐の大きさを感じずにはおれません。
 私は、賢治が嘉内に宛てた手紙の中の言葉に心から救われた経験があります。
 経緯の詳細は割愛しますが、子どもの頃から、一歩踏み誤ると真っ暗な闇の底に落ちてしまうような感覚があり、学生の頃とうとうその闇に入ってしまいました。それは、自分を含めた世の中の全て、宇宙の一切を否定してしまう、虚無といえるようなものでした。その虚無そのものに苦しみ、また虚無の中にいる自分を受け入れられずに苦しみました。
 保阪嘉内は、大正七年三月に盛岡高等農林学校を除名されます。賢治らと発行していた同人誌「アザリア」に書かれた嘉内の文章が要因となったといわれています。除名処分を受けたことを、嘉内は賢治からの手紙で知ることになるのですが、賢治は嘉内が除名になった原因について、教授らに確認をした上で、嘉内に「実はあなたは幾分虚無的なものと誤解された事が第一の原因な様です」と伝えました。その言葉の直後に、賢治はこう続けたのです。

 

事実あなたはさうらしい。けれども誰とて一度虚无思想に洗礼されなくて本当に一切を肯定する事ができませうか。

 

「ああ、自分の虚無には意味があることなんだ」と、私は、この言葉のおかげで、初めて自分の虚無を受け入れようという気持ちが生まれたのです。いつか一切を肯定できる時が来ることを信じて。
 それから、自分が虚無を超えていくまでには紆余曲折ありますが、虚無の私の手を最初に引っ張ってくれたのが、この言葉だったことには間違いありません。
 他にも、嘉内宛ての手紙の中には印象的な言葉があります。

 

かなしみはちからに、欲(ほ)りはいつくしみに、いかりは智慧にみちびかるべし。

 

 東日本大震災の後、たしか岩手の中学生数名が、各々好きな宮沢賢治の言葉を紹介していたのを電車の中の広告で見ました。その中の一人が、この言葉を紹介していたことに驚き、深い感銘を受けました。この子は、大震災の艱難を経て、この言葉を自分の中で本物にしたのだ、と。それは現代の希望そのものです。そのことを知ってから、この言葉は私にとっても特別な言葉になりました。

 


※ 今回ご紹介した手紙は、ちくま文庫『宮沢賢治全集』第9巻に、書簡49(大正七(1918)年〔三月十四日前後〕保阪嘉内あて封書)、書簡165(大正九(1920)年〔六月〜七月〕保阪嘉内あて封書)として収められています。

 

              (橘香 六花)

 

| ポラーノ@管理人 | 12:07 | comments(0) | - | pookmark |
サムライ平和14号のご案内

 

エゴから愛へ

人類文明の転換のために──

日本の心と平和を鎌倉から発進する総合誌

 

サムライ14表紙

サムライ平和(ピース)14号表紙

定価 1、000円+税

山波言太郎総合文化財団 発行

 

サムライ平和14号は山波財団迄 お電話 0467-25-7707をいただければお送り致します。

(送料2冊まで164円)火・水休
 

また下記の書店ホームページ  でもご購入いただけます宜しくお願い致します。

 

・有隣堂 本店(横浜市伊勢佐木町・関内駅)

・有隣堂 川崎(アトレ川崎・川崎駅)

・ジュンク堂 池袋本店(池袋駅)

・書泉グランデ(神田神保町・神保町駅)

・オリオン書房 ノルテ店(立川市曙町・立川駅)

 

(鎌倉市内の書店)

・松林堂(鎌倉駅東口駅前)

・鳥森書店(鎌倉駅東口)

・たらば書房(鎌倉駅西口駅前)

 

・NPOセンター鎌倉(鎌倉駅西口)

NPOセンター大船(大船駅西口)

 

JUGEMテーマ:デクノボー宮沢賢治について

| ポラーノ@管理人 | 11:50 | comments(0) | - | pookmark |
予告 サムライ平和(ピース)14号まもなく発行されます!

 

日本の心と平和を鎌倉から発信する総合誌

*サムライ平和14号のご案内*

 

※目次の一部を紹介します。

 

 

〈霊性をもとめて〉

 

生の断念〈人よ、動物からの脱皮を〉
           桑原啓善
不戦のための詩朗読と講演会・記録
1984・3・25(広島)平和記念館

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

賢治随想

 ―「霊性と文学」をめぐって―
          小野寺 功

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

新生した人           加藤 明

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

学術の正道をもとめて
――ソフィアとしての霊学(スピリチュアリティ)(1)    

            三浦正雄   

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

元号から読み解ける  物心調和の理想世界の幕開け    

            宿谷直晃   

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

〈評論・エッセイ〉より 

理想郷の実現に燃えて
   賢治と東蔵さん 〜東北砕石工場までのまっすぐな道〜
            牧 三晴

  など記事多数

 

 

サムライ14裏表紙写真

2019年7月 鎌倉市と逗子市の境 名越切通にて撮影〈表紙・裏表紙〉  写真・熊谷淑徳

 

| ポラーノ@管理人 | 11:26 | comments(0) | - | pookmark |
2019年(令和元年)賢治祭&近況報告

 

宮沢賢治祭 令和元年

2019年9月21日(土) 午後3時〜5時頃(時間未定)

前半「グスコーブドリと賢治の伝記」  

後半「イーハトーブの歌と朗読」(仮)

 

毎年恒例の賢治祭。今年は、新作です。どうぞご参加下さい。

※山波財団会員のみ参加できるイベントです。


2018賢治祭2

昨年(平成30年)の賢治祭

 

 

☆近況のご報告☆

熊谷えり子さん講座「学者アラムハラドの見た着物」を皆で読んでいます。

 

雨ニモマケズ碑

「雨ニモマケズ」碑(由比ヶ浜の山波言太郎総合文化財団にて)

 

| ポラーノ@管理人 | 10:04 | comments(0) | - | pookmark |
宮沢賢治童話感想文(サムライ平和第13号より転載)その2 学者アラムハラドの見た着物

「サムライ平和(ピース)第13号」山波言太郎総合文化財団編集発行 の「特集  宮沢賢治の童話を読む」にはたくさんの感想文が寄せられ、掲載されています。その中から、いくつかの感想文を当ブログに転載させていただくことになりました。

まずは、でくのぼう宮沢賢治の会メンバーの投稿感想文を何回かに分けご紹介致します。


 

 

学者アラムハラドの見た着物

 

 この作品は、残念ながら、途中から原稿が失われています。しかし、残された原稿だけでも大変な力を持っています。実は、賢治の死後に他の原稿の置き場所とは別の押入れから一篇だけ発見された作品だそうです。賢治にとって特別な作品だったのか、発表するに値しないと感じていたのか、「雨ニモマケズ」のように秘匿しておこうとしていたのか、その真意はわかりませんが、私にとっては特別な作品であることに変わりありません。
 アラムハラドは十一人の子どもを教えている学者です。その中でアラムハラドは子どもたちに問いかけます。小鳥が啼かないでいられず魚が泳がないでいられないように、人はどういうことがしないでいられないか、人が何としてもそうしないでいられないことは一体どういうことだろう、と。
 それに対して最初に「人は歩いたり物を言ったりいたします」と答えるタルラ。アラムハラドに「足や舌とも取りかえるほどもっと大切なものがないだろうか」と問い返され、「私は飢饉でみんなが死ぬとき若し私の足が無くなることで飢饉がやむなら足を切っても口惜しくありません」と答え直します。
 さらに、「人が歩くことよりも言うことよりももっとしないでいられないのはいいことです」と答えるブランダ。それを受けてアラムハラドは、「すべて人は善いこと、正しいことをこのむ。善と正義のためならば命を棄てる人も多い」「決してこれを忘れてはいけない。人の正義を愛することは丁度鳥のうたわないでいられないと同じだ」と答えます。
 最後にセララバアドという子は、こう答えるのです。

 

人はほんたうのいゝことが何だかを考へないでゐられないと思ひます。

 

 それを聞いて目を閉じたアラムハラドは、青く美しい心象を見ます。そして、こう教えます。

 

うん。さうだ。人はまことを求める。真理を求める。ほんたうの道を求めるのだ。人が道を求めないでゐられないことはちゃうど鳥の飛ばないでゐられないとおんなじだ。おまへたちはよくおぼえなければいけない。人は善を愛し道を求めないでゐられない。それが人の性質だ。これをおまへたちは堅くおぼえてあとでも決して忘れてはいけない。おまへたちはみなこれから人生という非常なけはしいみちをあるかなければならない。たとへばそれは葱嶺の氷や辛度の流れや流沙の火やでいっぱいなやうなものだ。そのどこを通るときも決して今の二つを忘れてはいけない。それはおまへたちをまもる。それはいつもおまへたちを教へる。決して忘れてはいけない。

 

 このセララバアドやアラムハラドの言葉は、私をずっと支えてくれました。世の中の全てがどうでもよくなって自暴自棄になりかけたときも、自分の中にある何を支えに生きていけばいいかわからなくなったときも。もう、これしかないという思いで、繰り返し繰り返しこの言葉を読みました。最近は、人を裁いてしまいそうになるときにも、この言葉を思い出します。
これからも、この言葉は私を支えてくれます。真実の言葉だからです。

                    (橘香 六花)

 

| ポラーノ@管理人 | 09:21 | comments(0) | - | pookmark |
ご案内「オーロラストーリー上映&星空コンサート」

 

横浜市でプラネタリウムのご案内ですが、既に予約が埋まり満席となっています。

お知らせのみとなりますが関心のある方はwebや、フェイスブックをご覧になってください。

 

「オーロラストーリー上映&星空コンサート」

  〜星野道夫・宙との対話〜

    人はなぜ宙をあおぐのか・・・

    宙といのちのつながりについて体感する一時間

 

横浜市プラネタリウム


同時開催「病院がプラネタリウム 星空体験」

 

「横浜みんなでプラネタリウムプロジェクト」フェイスブック

 

 

 

| ポラーノ@管理人 | 09:57 | comments(0) | - | pookmark |
ご案内「地球交響曲 ガイアシンフォニー第三番」上映&トークショー

 

映画上映&トークショーのご案内です。

 

   2019年 6月23日(日)上映&トークショー

 「地球交響曲 ガイアシンフォニー第三番」

 

2019年 6月23日(日)

開場時間 13:00  開演時間 14:00 終演予定時間 18:00
会場 なぎさホール(アクセス)
料金 全席自由
  前売 一般3,000円 高校生以下1,500円
  当日 一般3,500円 高校生以下2,000円

チケット取扱い
  逗子文化プラザホールカウンター
  046-870-6622

問い合わせ先     
  T&T小山内
  080-5654-1331
  tt.blue.earth@gmail.com

 【神奈川】6/23(日)「第三番」上映&トークショー

 

ガイアシンフォニー3

 

| ポラーノ@管理人 | 13:31 | comments(0) | - | pookmark |
宮沢賢治童話感想文(サムライ平和第13号より転載)その1 「イギリス海岸」

「サムライ平和(ピース)第13号」山波言太郎総合文化財団編集発行 の「特集  宮沢賢治の童話を読む」にはたくさんの感想文が寄せられ、掲載されています。その中から、いくつかの感想文を当ブログに転載させていただくことになりました。

まずは、でくのぼう宮沢賢治の会メンバーの投稿感想文を何回かに分けご紹介致します。


 

 

「イギリス海岸」の感想

 

 私は「イギリス海岸」という話が好きです。北上川と猿ヶ石川の合流点から少し下流の西岸あたりを賢治は「イギリス海岸」と名付けており、それはドーバー海峡の白亜の海岸を連想させるからだそうです。この話では、学校の先生である「私」と生徒の交流が描かれていますが、生徒を温かく見守る「私」の眼差しが感じられ、(あまり学校に馴染めなかった私でも)読んでいると不思議と安心した気持ちになります。また、自然を見る目がとても不思議で川や木や石、様々な太古から生きている自然に対し、自ずと敬意や慈しみを感じます。
 この作品のなかでの「私」と救助係との会話の場面が印象的です。教師の「私」はこの救助係のことを「あの男はやっぱりどこか足りないな」と感じつつも、実際話をしてみると実はずいぶんよく北上川で泳ぐ人たちのことを心配し考えていたことが分かり、「誰でも自分だけは賢く、人のしてゐることは馬鹿げて見えるものですが、その日そのイギリス海岸で、私はつくづくそんな考のいけないことを感じました。」と自身の軽率さを責めます。この箇所を読むとつい自身の日常の生活を振り返ってしまい、今まで、そして現在もどれだけ人や周りのことを馬鹿にして見てきたことだろう…といたたまれなくなってしまいます。
 また「私」は「実は私はその日までもし溺れる生徒ができたら、こっちはとても助けることもできないし、たゞ飛び込んで行って一緒に溺れてやらう、死ぬことの向ふ側まで一緒について行ってやらうと思ってゐただけでした。…(略)そして私は、それが悪いことだとは決して思ひませんでした。」と語ります。
 この場面を読むと、私は忘れることのできない高校時代の出来事を思い出します。ボート部に所属していた私は、とある試合の後、乗っていたボートのバランスが崩れ転覆し溺れかけてしまいました。運悪く身に着けていた救命胴衣もうまく機能せず、近くまで来てくれた救助艇も目の前で故障し、そして川の中は急な流れのため泳いで岸まで辿り着く自信はとてもありませんでした。私は転覆したボートに必死に捕まっていましたが、段々と体も疲れてきて「もうダメかも…」と思っていました。その時、ボート部の監督である先生が一人飛び込んできてくれ、溺れかけた私を助けてくれました。その後その先生は、私が卒業した翌々年に他校の生徒を守る形で他界されました。
 その先生にはどれだけ恩を返しても返しきれません。そして私もその恩師に少しでも近づけるように、人や周りを愛し助けられるような人になりたいと思います。
 「イギリス海岸」のように先生と生徒の温かい交流が描かれている賢治の作品は他にもありますが、どの作品を読んでも、一人一人の教え子に対してどこまでも優しく静かに寄り添う先生の姿を感じます。読んでいるだけでも癒されますが、こんな学校や先生が少しずつ増えていけば、どんなに子どもたちは安心し育っていけるだろうと思います。

         (夏原ゆと)

 

 

| ポラーノ@管理人 | 08:43 | comments(0) | - | pookmark |
草野心平記念文学館の夏の企画展「宮沢賢治―賢治の宇宙 心平の天―」その3

 

せっかくきたので草野心平さんの生家もみたいということもあってタクシーでどのくらい時間がかかるか等たずねていたら、な、な、なんと!О氏が駅まで送ってくださるというではありませんか!!!!!

すっかり仲良くなった気分でずうずうしくもありがたくお言葉に甘えることにいたしました。О氏が支度をなさっている間ほんの少しだけもう一度企画展をまわり資料をいただきました。帰りの電車の時間をきかれ、いわき駅だと車が混むから時間に余裕をもって出たがいいとすぐ車に乗り込みました。駅に行くのかと思ったら心平さんの母校小川小学校をまわって生家へ。え?時間は?という間にどんどん生家の中へ入っていかれ 心平さんの教え子のボランティアの方と心平さんが作った小川小学校の校歌を歌って下さいました。それから心平さんのお墓へ連れて行ってくださいました。心平さんの墓石には戒名はありませんでした。常設展示の作品を見ていて私もHさんも心平さんは死後の世界をご存じだったのではないかしらと話していたのでとても心平さんらしいと思いました。それでふと見ると蛙さんがいたのです。天気の良い日差しが強い時間なのに。きっと心平さんがよろこんでくださったのかしらと云い合いながら駅へ向かいました。しかしまたここで車は違うところ?を走っています。きれいな川がみえてきて水面はキラキラと銀色に光って実にきれいです。夏井川という川でその堰をわざわざ遠回りして見せてくださったのです。小川村の豊かな自然を体験させてくださりやっとこんどこそほんとうにいわき駅へむかいました。その道中も次から次へ面白いお話をきかせてくださりずっと笑ったり感心したりしているうち駅について挨拶もそこそこにぎりぎりで特急電車に飛び乗りました。座席に座ったあともなんだか夢のような時間を過ごしたようで二人ともしばらく興奮がさめませんでした。

学芸員О氏がお弟子さんのMさんとともに私たちに気をつかわせないようサプライズで心平さんゆかりの場所めぐりをしてくださったことやその間もたくさんの知識と話題でひとときもあきることがありませんでした。短い時間でしたが濃厚で貴重なひとときを過ごさせていただいたことに心から感謝しております。ありがとうございました。

 

草野心平さん生家

草野心平さん生家

 

生家案内ボランティアをしている心平さんの教え子さん小川小学校校歌(心平さん作詞)斉唱

小川小学校校歌斉唱

 

草野心平さんのお墓

心平さんのお墓

 

お墓のすぐ横にいた蛙さん 写真をとろうとしたら日陰にとんだところを

お墓のすぐ横にいた蛙

 

 

| 風志野はるか | 15:42 | comments(0) | - | pookmark |
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