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宮沢賢治読む会 〜「猫の事務所」に参加して〜
 

先日、自然音楽研究所の講座の一つ、宮沢賢治読む会に参加した。

今回の作品は、「猫の事務所」。賢治さんが生前発表した童話の一つ。
講座は、まず作品を参加者で輪読することから始まる。ただし読みたくない人は読まなくてもよい。不思議なことだが、一度読んだことのある作品でも、みんなで読むと自分だけで読んでいたものとは違う発見をすることが多々ある。



かま猫1



熊谷先生の最初の言葉。

「読んで感じたことはないですか?」

最初に読んだ印象をとても大事にされているなと感じる。

これが、作品に入り込むとても大事な要素のようだ。

 

私は、猫たちのよくない心が事務長猫をあっという間に巻き込んでかま猫を泣かせてしまう事態にまで発展してしまったというのが、「心」が悪い形をとったらこんな風に黒くなかったものも黒く巻き込んでしまう過程をありありと見たようで恐ろしかった。自分もまたこういう悪い心の使い方をしていたのではないか、またぼやっとした考えで黒いものに巻き込まれているのではと思うと身が縮んだ。また獅子の出現で心の使いようで世の中のシステムさえも一瞬で変わってしまうのだと思った。現実の世界に置き換えても、心の使い方を改めないともうそんなに時間はないという気持ちになった。

 

さまざまな感想のあと、熊谷先生が参加者とのやりとりの中で、「かま猫は悪想念をだしていない。泣くしかなかった。そしてかま猫だけが天地を貫いてまっすぐに立つことができた」とおっしゃられているのをきいて、かま猫は正真正銘のでくのぼうとして描かれていると思った。



かま猫2


講座が終わってからも、なにか重い課題を与えられたように感じた。
賢治さんが真正面から「いじめはダメだ」といっている気がした。

なぜかというと最近の「いじめられる側にも問題がある」というような変な風潮を居心地悪く感じていたからだ。数年前、いじめによる自殺で死んだ子供が通っていた学校の校長先生が「いじめらる側にも問題がある」と記者会見で言っていた。本当に驚いた。かけがえのない命をかけてその子供が伝えたかったことはなんだったんだろう。死んだのが自分のこどもでもそう思ったんだろうかと。大人がこの変な考えではいじめはなくならないだろう。いじめを喧嘩両成敗のように考えられたのではたまらない。いじめは圧倒的に有利なものが弱いものをいじめるのだ。

いじめられて逃げて泣き寝入りしたら怨念のはじまり、やり返したら、もう戦争だ。戦争のはじまりだ。うまく立ち回るしたたかさはかま猫にはない。(もしそんなものがあったら悪想念がばんばん出てそう・・・)だからかま猫はあの場で泣いたのかもしれない。愚直なかま猫は、泣くしかできなかったのかもしれない。そして獅子が入ってきて、ほかの猫はうろうろするなかで、かま猫だけが泣くのをやめてまっすぐに立った。なにか素直に最後の審判を受け入れている人のように。

それにしても、あれからずっと「猫の事務所」のことを考えている・・・。




かま猫3

写真◎yoshinori kumagai






| 風志野はるか | 16:51 | comments(4) | - | pookmark |
Comment
投稿ありがとうございました。
何度も読みました。

最近熊谷さんの講座には参加できず、とっても残念です。でも、このような記事があると、私も宝物をわけてもらえた気がしてありがたいです。
Posted by: 草薙 |at: 2012/02/12 12:04 PM
宮沢賢治の童話は、ほんとうにすごいなあと思います。読んでも読んでも尽きないから、卒業することは絶対ないです。
Posted by: かりん |at: 2012/02/14 11:17 AM
草薙様 かりん様
コメントありがとうございます。
実は、先日また同じ読書会に参加しました。
同じ作品でも参加者が違えば、またより深く作品にふれた気がしました。
「いじめられてた人もいじめた人を許して…」と言葉のがつまった参加者の発言に、熊谷先生が「それは一言でいうと、山波先生に教えてもらった『みんなが愛の人になる』ということですね。」と。
獅子も黒猫も白猫も虎猫も三毛猫も、かま猫もみんなが愛の人になる。
私もそうなりたいと思いました。
Posted by: 風志野 はるか |at: 2012/02/18 10:50 AM
いじめは、世の中を悪くします。
どんな些細ないじめでも、してはいけないのです。(たとえ自分では、いじめと自覚が無いことでもだめです)
いつでも愛と奉仕の心で生きることが人の道です。
どうしたらよいか分からないという人は、どんなこともそうですが、最低限としての目安としては、自分が他人にされたら嫌なことは決して他人にしてはいけないのです。
自分が他人にされて嬉しいことをすればいいのです。
そこから世界の恒久平和が、みんなのほんとうの幸福が生まれるのです。
私たちはそれを教えていただきました。
もう一度、猫の事務所を読んでみたくなりました。
風志野はるか様ありがとうございます。
Posted by: 風と草穂 |at: 2012/04/02 6:23 PM








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