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佐々木八郎さんのこと

昨日、東京大学で「佐々木八郎さんの想い出を語る会(主催:佐々木八郎さんを偲ぶ会)」のシンポジウムが開催され、出席させていただきました。

ご友人の方やご兄弟の方、また真摯に研究していらっしゃる研究者の方々のお話を聞くことができ、約3時間半の講演はあっという間に終わりました。とても意義深い会でした。

佐々木八郎さんは大正11年7月7日生まれ、旧制一高を卒業後、東京大学の経済学部に入学。在学中に学徒出陣で海軍の操縦士を志望し、昭和20年4月14日に沖縄海上にて特攻隊員として戦死されています。

強い反戦思想の持ち主であった八郎さんが何故、特攻に志願したか。それが一つの大きなテーマとなっています。しばらく前に「永遠のゼロ」という映画が流行りましたが、フィクション映画の及ばない真実なものが八郎さんの言葉の中にあって、後世で生きてる私達に強く訴えてくるものがあります。

八郎さんは出征に際して、「『愛』と『戦』と『死』―宮澤賢治『烏の北斗七星』に関連して―」というエッセイを残していて、その中で特攻に志願した自分の動機や心境と、宮澤賢治の「烏の北斗七星」の中での烏の大尉の心情が一致している事を述べています。

「僕の最も心うたれるのは、大尉が「明日は戦死するのだ。」と思いながら、「わたくしが、この戦に勝つことがいいのか、山烏が勝つことがいいのか、それはわたくしにはわかりません。みんなあなたのお考への通りです。わたくしはわたくしのきまつたやうに力一杯にたたかひます。みんなあなたのお考への通りです。」と祈るところと、山烏を葬りながら、「ああ、マジエル様、どうか憎むことの出来ない敵を殺さないでいいやうに早くこの世界がなりますやうに、そのためならば、わたくしのからだなどは何べん引裂かれてもかまひません。」というところに見られる、「愛」と「戦」と「死」といふ問題についての最も美しい、ヒューマニスティックな考へ方なのだ。これらの問題にあたる時、これ以上に人間らしい、美しい、崇高な方法があるだらうか。」

今、国会や世間では集団的自衛権、憲法、安保法制の議論が熱を帯びています。しかし腑に落ちるような説得力のある事を言う人は一人もいません(政治というよりも、個人主義と全体主義の思想的衝突のように見えます)。私は八郎さんの言葉に触れるとそんな悶々としたものは雲散霧消してしまいます。八郎さんはそんなところはとっくに超越して、宮澤賢治と同じように新しい時代を夢見てずっと先を走っていたように思えるからです。

是非たくさんの人に、佐々木八郎さんの事を知ってほしいと思います。

「すべての人のすべての行為が、人よよかれし、世よよかれしと願うものであったとすれば・・・・・。それこそが新しき時代を導くエトスである。」(佐々木八郎「青春の遺書」より抜粋)

 

| 黄色のトマトジュース | 22:52 | comments(5) | - | pookmark |
Comment
たいへん貴重なシンポジウムですね。
集団的自衛権や改憲が議論されるこの時期に開催されたことは、
偶然ではない気がします。
佐々木八郎さんの存在やお考えを、もっと多くの方々に、知ってもらえることを願います。
このシンポジウムを取り上げたNHKのニュース映像も拝見しました!
Posted by: ten |at: 2015/06/22 11:42 PM
私もNHKニュース拝見しました。
佐々木八郎さんは、実に深い愛と先見の明をもった方だと思います。まさに今、広く知っていただきたい方ですね。
このように、佐々木八郎さん、そして戦死者たちの本当の気持ちを知る機会が増えることを願っています。
Posted by: 橘香 六花 |at: 2015/06/25 12:12 PM
  佐々木八郎(1922〜45.4.14)は、戦没学徒である。
  16〜21歳までの青春日記を残し、学徒出陣で海軍に行き、飛行機搭乗員として、太平洋戦争に散華している。
  彼は、社会、国家、戦争に頭だけでなく、全身でぶつかっていった。
  経済学徒として、世界経済や日本経済の動向を的確に把握し、敗戦を早くから予知していた。
  観察し、行動する人が良心を持つ佐々木さんのような人を失った国家的損失は、あまりにも大きい。
  人生、長い短いより、充実の方がはるかに大切である。
Posted by: 松田みのる |at: 2015/10/09 4:38 PM
管理者の承認待ちコメントです。
Posted by: - |at: 2015/10/10 9:29 AM
お知らせ
松田様

コメントありがとうございます。
添付されていたメールアドレスは控えさせていただきました。
Posted by: ポラーノ@管理人 |at: 2015/10/10 11:01 AM








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