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書評「屋根の上が好きな兄と私」 宮沢賢治妹・岩田シゲ回想録
著者 岩田シゲほか
栗原 敦 監修
宮澤明裕 編
蒼丘書林、2017年12月20日
いい本でした。宮沢賢治が、小さい頃、いつもお父さんに叱られていたこと、シゲさんは妹なのに、賢治が叱られないように、いつも心配する気持ちの優しさが、とてもよかったです。
栗原先生が、言葉に簡潔な注釈をつけて下さっているのが、透き通るような青いシゲさんの文章に、深い濃い紺色の色合いを加えるような具合で、賢治のその日の心と姿がありありと見えるようでした。
賢治童話の下敷きになるような体験だったんだろうなという思い出もでてきて、童話の場面も浮かびます、賢治ファンにはたまらない一冊だと思います。
158回芥川賞をとられた若竹千佐子さんの作品「おらおらでひとりいぐも」。タイトルの言葉は、賢治の妹トシさんの言葉ですし、直木賞に決まった門井慶喜さんの「銀河鉄道の父」は、賢治の父、政次郎さんの視点で描かれた作品です。
この賢治の妹シゲさんの視点で書かれた、賢治とその家族の群像であるこの本は、A5判78頁の薄めの本で、何かの賞をとるものではないと思いますが、とにかく優しくあたたかくて、家族を包む母イチさんの優しさと共に、その息遣いまでも感じる、なんども読みたくなるような、本でした。
でたばかりの本のネタをばらしてはいけませんが、「人の難儀をよそごとに済ませない兄の性格を父は非常に心配しているのでした。」の一文、姉のトシさんが「寮で、何か催物があって、余興でおばあさん役の人に『宮沢さんの着物貸して』と言われるんだと姉は苦笑いしていました。」の一文が、心に残りました。これだけでも、私の書評(拙い感想)よりも、この本の魅力がわかると思います。
シゲさん、栗原先生、宮澤明裕さん、本当にありがとう。
(草薙)
けれども答えは研究所や学術書にはないと 今日気づきました。
それはきっと人間達が教えてくれます。
誰かの思いを知って、言葉をきいて、人生を少しだけ一緒に歩いた時、見えてくるその人の心の形。そこにきっと私の知りたかった答えがあります。その知恵をどう活かせばいいのかまだわからないけど、見つけ出してみたい。そんな宝物。
この本にその宝物がたくさんあるのだろうと書評を読んで感じました。
シゲさん、栗原先生、宮沢明裕さん、草薙さん、本当にありがとう。
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